会長コメント
2025年3月12日
春季労使交渉の各社回答について
2025年春季労使交渉において、集中回答日の本日、各社より多くの回答が示されました。
賃金引上げについて、大手中心に、近年にない水準となった2023年、それを上回った24年に続き、昨年並みか一部にはさらに上回る回答が出ています。多くの企業が、「成長と分配の好循環」に向けて、この3年の流れを定着させるべく取り組んでおり、交渉の早い段階で回答を示し、他の企業や業界への流れを後押しするなど、今年も力強い動きが見られます。
多くの企業労使が、国際競争の中で経済・企業が持続可能な成長を続けるために、「人への投資」がいかに重要か、真剣に考えていると感じます。
経済の好循環を回していくためには、消費者一人ひとりが、賃金が上がった分で積極的に消費し、良いモノには相当の値が付くという価値を認め、受け入れることも欠かせません。
中小企業においては、これから多くの企業が交渉・回答の佳境を迎えます。当地の企業を含めて、この流れをどれだけ広げていけるかが、今後我が国で長く続いたデフレ経済から脱却できるか否かの、最も重要な焦点になります。
賃金を引上げるにも、価格転嫁が進まず業績や原資が厳しい中で、やむを得ず「防衛的に」対応する企業もあります。厳しい状況にある企業こそ、価格転嫁のために取引先に声をあげることや、自社製品・サービスの付加価値をどうやって高めるのか、認めてもらうのかを含め、自社の経営状態や直面する課題に労使で真摯に向き合っていただきたい。企業経営者とそこで働く人たちが、将来につながる持続的成長に取り組むための対話を重ね、自社が提供する付加価値の向上を起点に、生産性の向上を考える機運が盛り上がっていくことを、強く願っております。
愛知県経営者協会は、サプライチェーン全体で賃金引き上げ原資を確保する観点から、引き続き「パートナーシップ構築宣言」への参画を呼び掛け、実効性確保に取り組むとともに、交渉・協議状況等の情報提供を通じて、当地の機運醸成や企業のサポートに力を入れてまいります。
2025年3月12日
愛知県経営者協会
会長 大島 卓