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2024年8月5日

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愛知県最低賃金の答申について

愛知地方最低賃金審議会において、本年の愛知県最低賃金を昨年より50円引き上げ、1,077円とする答申がなされました。

 

コロナ禍から脱して海外からの旅行者を含め、人やモノの流れが戻りつつある一方で、日米金利政策も背景にした急激な為替変動や、ウクライナ・ガザ地区等の地域紛争、米大統領選挙などの国際情勢、欧州はじめ各国の景気減速懸念など、経営改善に向けた環境はますます厳しくなっています。

 

 経営側としては賃金引き上げの必要性・重要性を理解した上で、最低賃金について『企業の生産性向上・経営改善によって原資を確保することを前提に、それに見合う適正な引き上げ幅を、公労使の丁寧な議論に基づき決定すべきである』と主張して参りました。

 

こうした中、当地の最低賃金の引き上げ幅は、50円の大台に乗り、過去最高水準となりました。業績回復や価格転嫁が十分に進んでいない中小・小規模企業の中には、人材、設備などへの投資原資が十分に確保できておらず、人材の確保や流出防止のため、やむを得ず「防衛的に」賃金引上げを行っている中小・小規模企業も少なくありません。最低賃金の急激な引き上げは、事業継続がおびやかされ、雇用や地域経済にいっそう重大な影響が及ぶことが懸念されます。

 

政府・行政機関等に対しては、急激な為替変動を抑え、目下の物価高騰や企業収益に対する不確実性を低減する措置を求めます。また中小・小規模企業における労務費の価格転嫁など取引の適正化に向け、実効性ある情報周知や指導、税制面・助成金等での後押しや、専門家による企業への相談対応など具体的な支援の拡充に引き続き取り組んでいただきたい。また、企業の生産性向上や人への投資に対する支援策の継続的な実行を強く要望します。

 

今後の最低賃金引き上げの議論に向けては、物価の動向や雇用・労働情勢、企業業績だけでなく、労働生産性の向上、賃金引き上げの実勢とそれが企業の業績や設備投資等に及ぼす影響など、より客観的で精度の高いデータなどに基づく議論ができる環境整備をして欲しいと思います。中長期的には将来の目標額を示すなど、企業にとっても一定程度予見可能な形で目安が示されることも重要になると考えます。

 

 

                             202485

                  愛知県経営者協会

                 会長 大島  卓