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2026年3月18日

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春季労使交渉の各社回答について

2026年春季労使交渉において、本日の集中回答日を迎え、各社より多くの回答が示されました。「分厚い中間層」の形成と「構造的な賃金引上げ」の実現に向けた力強いモメンタムとして、着実に定着しつつあるものと受け止めております。

 

しかしながら、このような動きがそのまま中小企業に広がっているとは言い難いのが現状であります。今後交渉が本格化する中小企業の現場では、労働力不足、価格転嫁の遅れ、原材料費やエネルギーコストの高騰などにより、利益が十分に積み上がらず、賃上げ余力が生まれないという厳しい状況に直面している企業も少なくありません。

 

とりわけ中小企業においては、こうした構造的な課題が経営の足かせとなっており、賃上げに対する「疲弊感」と、深刻な労働力不足に対する「切迫感」が、これまで以上に強まっているとの声が多く聞かれます。

 

中でも、企業活動に大きな影響を与えているのが、加速する労働力不足であります。人が足りなければ、受注機会を逃し、OJTや業務改善にも手が回らず、生産性向上の土台そのものが揺らぎます。だからこそ、賃上げと労働力不足を別々の問題として議論するのではなく、労働力不足への抜本的な対応なくして、賃上げの持続性はあり得ないと認識しております。

 

こうした認識のもと、愛知県経営者協会では、「労働力不足への本気の挑戦」をテーマに、中期活動計画に基づき、以下の五つの重点プロジェクトを、副会長の皆さまのリーダーシップのもと推進してまいります。

 

第一に、外国人材の受入れ・育成・定着支援であります。
多くの企業で課題となっている日本語教育のプログラム策定や教育支援を進めるとともに、企業と地域が連携し、安心して生活し働き続けられる環境整備を後押ししてまいります。

 

第二に、理工系分野における女性活躍の推進であります。
理工系人材の裾野拡大と、企業における職域拡大・キャリア形成支援を通じて、持続的な人材確保につなげます。

 

第三に、人生100年時代を見据えた健康経営の推進であります。
従業員の健康保持・増進を経営戦略として位置付け、生涯にわたり活躍できる環境づくりを後押しします。

 

第四に、次世代経営人材の育成であります。
地域企業の持続的成長を支える経営層の育成・承継支援を強化します。

 

そして第五に、AIの進展に伴う活用促進であります。
まずはAIの導入・実装を通じて、企業の生産性向上を図ることが重要であります。
その上で、AI社会の到来を見据え、人ならではの価値を発揮できる人材の育成や再教育、能力開発を進めてまいります。AI活用と人材育成の両輪を回すことで、付加価値創出と企業の持続的成長を実現していきたいと考えております。

 

これらはいずれも、企業の現場に寄り添い、人が集まる地域としての愛知の魅力を高めていくための基盤づくりであり、実効性ある支援策を通じて、企業の現場で役に立つ具体的な成果へと結び付けてまいります。

 

答えが見えにくく、時間も手間もかかる、いわゆる“面倒くさい課題”にこそ真正面から挑み、複雑に絡み合う課題を一つひとつ紐解いていく覚悟をもって、粘り強く取り組んでまいります。

 

こうした取り組みを着実に積み重ねることで、労働力不足の改善と付加価値の創出を実現し、売上や利益の向上、さらには賃上げの原資確保へとつながる好循環を、愛知から生み出してまいります。

 

 

 

                             2026年3月18日

                  愛知県経営者協会

                       会長 有馬 浩二