会長コメント
2024年7月25日
中央最低賃金審議会 小委員会の目安額決定について
中央最低賃金審議会 目安に関する小委員会において、本年の地域別最低賃金に関し、全国平均の時給額がこれまでにない引き上げ幅となり、1,054円の目安が示されました。
愛知県を含む各地域の最低賃金はこれから審議されますが、円安も相まって未だ強力な物価上昇圧力や、ウクライナ・ガザ地区等の地域紛争、米大統領選挙などの国際情勢、欧州はじめ各国の景気減速懸念など、経営改善に向けた環境はますます厳しくなっています。人材、設備などへの投資原資が十分に確保できていない中、人材の確保や流出防止のため、やむを得ず「防衛的に」賃金引上げを行っている中小・小規模企業も少なくありません。目安として過去最高額の引き上げ幅が示されたことで、その事業継続や雇用など、地域経済にいっそう重大な影響が及ぶことが懸念されます。
経営側としては賃金引き上げの必要性・重要性を理解した上で、最低賃金について『企業の生産性向上・経営改善によって原資を確保することを前提に、それに見合う適正な引き上げ幅に関して、公労使の丁寧な議論に基づく最低賃金引き上げ』を主張して参ります。
また、引き上げ幅について、物価の動向や雇用・労働情勢、企業業績等をはじめ、労働生産性の向上、賃金引き上げの実勢とそれが企業の業績や設備投資等に及ぼす影響など、より客観的で精度の高いデータによる根拠を示したうえで議論がなされることを引き続き求めます。併せて今後の引き上げに向けて、それらの根拠を踏まえたうえで中長期的な目標額を示すなど、企業にとっても一定程度予見可能な形で目安が示されることも重要になると考えます。
2024年7月24日
愛知県経営者協会
会長 大島 卓