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2023年8月4日

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愛知県最低賃金の答申について

愛知地方最低賃金審議会において、本年の愛知県最低賃金を昨年より41円引き上げ、1,027円とする答申がなされました。

 

新型コロナウイルス感染症が「5類」となり、社会経済を活性化していくことが重要な時期を迎えています。多くの企業が業績回復の方向を見出しつつあり、足元の物価高騰や人手不足に対応して、この春にも、多くの経営者が大幅な賃上げを実施するなど、経営者の中で賃金引き上げの重要性は共有されているところです。ただ、継続する原燃料をはじめとする物価上昇圧力や、各国金融政策の副作用、ウクライナ情勢・米中による競争激化を背景とした経済安全保障上の懸念など、経営改善に向けた環境はますます厳しくなっています。

 

  経営側としては賃金引き上げの必要性を理解した上で、最低賃金について『企業の生産性向上・経営改善によって原資を確保することを前提に、それに見合う適正な引き上げ幅を、公労使の丁寧な議論に基づき決定すべきである』と主張して参りました。

 

こうした中、当地の最低賃金は、40円を超える過去最高水準の引き上げ幅となりました。業績が回復途上の中小・小規模企業の中には、生産性向上のための設備・人材への投資原資が十分に確保できていない企業もあり、その事業継続がおびやかされ、雇用や地域経済にいっそう重大な影響が及ぶことが懸念されます。

 

行政に対しては、為替を含め目下の物価高騰を緩和する措置、中小・小規模企業における価格転嫁を含む取引の適正化へ実効性ある支援の具体化、企業の生産性向上や人への投資に対する支援策の継続的な実行を強く要望します。

 

また、今後の引き上げの議論に向けては、物価の動向や雇用・労働情勢、企業業績等はもとより、労働生産性の向上、賃金引き上げの実勢とそれが企業の業績や設備投資等に及ぼす影響など、より客観的で精度の高いデータによる根拠を踏まえたうえで、中長期的な目標額を示すなど、企業にとっても一定程度予見可能な形で目安が示されることも重要になると考えます。

 

 

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                愛知県経営者協会

              会長 大島  卓