「涼しい話」
株式会社伊藤工務店 取締役社長 伊藤 コ宏(イトウ ノリヒロ)
| 昭和35年 3月生まれ | |
| 昭和60年 3月 | 名古屋学院大学卒業 |
| 昭和60年 4月 | 葛井会計事務所勤務 |
| 平成 元年 4月 | 株式会社伊藤工務店入社 |
| 平成11年 7月 | 同社 常務取締役 |
| 平成15年 7月 | 同社 取締役副社長 |
| 平成16年 7月 | 同社 取締役社長 |
| 現在に至る | |
この稿が掲載される8月初旬は暑い盛り。そこで少しでも涼しい話を提供出来ればと思っております。
唐突にケニアは涼しかった。で始めたい。数年前ケニアにサファリツアーに行く機会があった。ケニアのサバンナをサファリカーに乗って野性動物を観るために駆け巡る。そのサファリカーは、もちろん壊れにくい日本製のワンボックスカーの天井を開けたもので、動物が主に活動する早朝と夕方に行われる。夕日が遠い地平線に沈み始めると、その開いた天井から入って来る風がかなり冷たい。ウィンドブレーカーを着ていても寒い。これは地理的には赤道近くにあるにも係わらず標高は1000メートルを越えているからだ。遠い雲間に雪をいだいたキリマンジャロが。
標高が高いといえば、これも数年前に訪れた、中国の四川省にある黄龍と九寨溝は標高3000メートル以上の高地であり酸素ボンベを持ち歩いていないとつらい。空港より黄龍へ向かう峠は3776メートルの富士山よりも高い4000メートル以上。ここも涼しかった。黄龍は流れる水に含まれる石灰成分が悠久の時をかけて堆積し棚田状に堤を作り、そこを流れ落ちていく青く透明な水は美しい。
棚田といえばインドネシアのバリ島の空港から車で1時間程行ったウブドの街の近くにある棚田は圧巻でした。写真で見た棚田の風景に魅かれ、これが観たくてバリ島まで出かけた。当日は大雨で、舗装されていない道路は雨水が濁流となりタイヤが隠れる程になり流れていた。私を乗せたマイクロバスが緩やかな坂道を濁流に流されそうになって進んで行った。棚田=ライステラスに着いた時は小雨となり、遥かに続くライステラスの遠くは雨に霞み、さらにどこまでも続いているかの風景を堪能させてもらった。夜、宿泊したホテルの露天のバスに浸かり満天の星を眺めていると涼しい。ウブドは海抜500メートル位だそうだ。
かつて訪れたケニアは現在、政治的問題から部族間の大規模な衝突へと発展した結果、1千人を超える死者と50万人を超える国内避難民が発生する事態が起き、また中国四川省では地震があり多くの方が被災され、とても涼しい話と言っている場合ではありませんが。
私どもの会社は自動車産業に関連する多くの企業の建設工事をさせて頂いている。日頃、日本で街中や高速道路ばかりを運転していると気付かないのだが、ケニアのでこぼこの悪路、四川省の高地、インドネシアの濁流となった道を毎日走り続けるという過酷な環境で自動車は、我々観光客だけでなく、そこで生活している人達の生活と利便に役立っているすばらしく耐久性のあるものだと。作っている方々に改めて敬意を捧げたい。
このような経験から、当社の社員に日々の業務とは離れた場所と時間を体験させ、視野を広く持たせることも、広い意味での人材育成と考え、昨年より2泊3日の親睦をかねた海外研修を実施している。昨年は中国上海の活気と高層ビル群を、今年は秋に台北の昨年まで世界一の高さであった台北101を見学に行く予定としている。
さて社長となって4年が経ち、社長としての私は、どの様な社長でありたいかといえば、社長としての肩書きが必要な事以外の仕事は、社長がやらなくてもいい人材と組織を作り「暇な社長」になりたい。というわけで「涼しい話」が「虫のいい話」で終わる。
(次号9月号は、株式会社北見式賃金研究所 所長 北見昌朗様にお願い致します)


