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トップページ > Employer - 2008年5月

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「だれが日本を養うのか」

岩田食品株式会社 代表取締役社長 岩田  功(イワタ イサオ)

岩田食品 岩田社長
昭和27年 2月生まれ
昭和49年 愛知学院大学卒業
昭和51年 岩田食品株式会社入社
昭和54年 同社 取締役
昭和59年 同社 取締役副社長
昭和61年  同社 代表取締役社長
現在に至る

 1990年代半ば、中国で都市部を中心とした食料不足が発生し、海外市場から小麦・トウモロコシ等2000万トンを超える穀物の輸入を行いました。その際にアメリカ・ワールドウオッチ研究所のレスター・ブラウン所長の「だれが中国を養うのか」が話題となりました。これに対して中国の李鵬首相は「中国を養うのは中国である」と反論し、その後食糧政策を変換していった経緯があります。
 今の日本で、「だれが日本を養うのか」と問われた時、「日本を養うのは日本である」と言えるでしょうか。日本の食料自給率は昭和40年度には70%であったのが、現在は39%まで急激に減少しています。外国を見ますと、フランス145%、アメリカ128%、ドイツ84%、イギリス70%、スイス49%です。日本の自給率順位は世界178カ国中129位なのです。国内では、農林水産省から発表されている都道府県別食料自給率によると、100%を超えるのは、北海道201%、秋田県164%、山形県127%、青森県115%、岩手県103%の1道4県しかありません。逆に低いのは東京都1%、大阪府2%、神奈川県3%で、東海地区は愛知県13%、岐阜県25%、三重県42%となっています。これが現状なのです。
 中国製冷凍ギョーザによる中毒事件以来、食品業界の中国離れは確実に進みつつあります。しかしながら、今日の日本の食卓は中国製品に支えられているのが現実です。2月中頃、中国国家品質監督検査検疫総局が、食品添加物や農薬の日本向け輸出検査を厳重に行ったことにより、日本への食料品輸出が一時的にストップしました。中国製食料品を取り扱っている企業には戦慄が走りました。中国製の製品のみならず、原料を中国からの輸入に頼っているからです。このままでは日本国内の生産に影響が出かねない状態です。今の段階では中国離れが進み、国内産の原料に移行しつつありますが、量・価格を考えると、国内産への転換は一部に過ぎず、多くは他の国、例えばベトナム、タイ等に変わるだけで、国内産への大きな転換があるとは考え難いのです。 途上国の大幅な人口増加、所得の向上、バイオ燃料の増産、農業面積増加の限界、地球温暖化や異常気象による農作物への影響等を考えると、今後の食料需給がますます逼迫するのは間違いありません。今後日本が今までのように食料を世界中から調達できる保証はどこにもないのです。今の日本を見ると、食の安全・安心に対しては大きな危機感があるのにもかかわらず、食料の確保については全くといっていいほど危機感がないように感じられます。
 日本の食料廃棄物は年に約1,900万トン発生しています。一方、世界の食料援助量が年間730万トンです。この例をとってもわかるように、今後考えなければならない問題は多くあり、大変な状況に置かれているのが現実です。ただ一方、農林水産省の資料には次のような報告書がありました。今、日本が食料の輸入ができなくなり、現在の国内耕地面積だけで国内の食料品供給を行った場合にどうなるのかというレポートです。私は国内で餓死する人が出るのではないかと思いましたが、今の農地467万haで供給できる食料は、昭和20年代のカロリー量であれば確保できるとのことです。つまり現代の食生活を見直し、当時のカロリーで生活をするライフスタイルに変えれば自給率100%となるのです。しかも、メタボリックや成人病も一気に少なくなるのではないでしょうか。

(次号6月号は、愛知トヨタ自動車株式会社 代表取締役社長 山口 真史様にお願い致します)