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トップページ > Employer - 2008年4月

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「当世中国婚礼事情」

モリリン株式会社 代表取締役社長 森 克彦(モリ カツヒコ)

モリリン 森社長
昭和21年 4月生まれ
昭和44年 一橋大学卒業
昭和44年 三菱商事株式会社入社
昭和55年 モリリン株式会社入社
昭和63年 同社 取締役
平成 5年  同社 常務取締役
平成 7年 同社 専務取締役
平成11年 同社 代表取締役社長
現在に至る

 「ジミ婚」がすっかり定着した昨今では、取引先の経営者のご子息、あるいはご令嬢の盛大な婚礼に招かれて出席する機会は少なくなっています。これに対して中国では、生活水準の向上とともに、結婚披露宴がハデになる一方だと聞き及んでいるので、興味津々いつか機会があれば出席したいと思っておりました。そんな折りに浙江省寧波の当社取引先企業のZ総経理から、ご子息の慶事に招待を受けました。偶々商用で上海に出張する旅程に合わせて、上海から空路半時間の寧波を訪れることになったわけです。
 寧波は唐の時代から中国三大対外貿易港として栄え、平安時代に遣唐使が寄港したことで私達には馴染み深く、また栄西や道元が修行した天童寺という禅寺があります。改革開放後は、繊維や通信・航空産業を中心に目覚ましい発展を遂げ、総人口は535万人と愛知県に匹敵する大きな都市です。
 当社の取引先企業は、ウールやカシミヤの紡織一貫工場で、企業規模としては中堅に属するものの、生産管理のレベルは高いので、当社は日本向けに紡績糸や織物を継続的に買い付けております。
 ところで「寧波人は商才に長けているので油断できない」というのが中国人の間でも通り相場となっているようですが、Z総経理のまことに誠実かつ謙虚な人柄に私は初対面の時から好感を抱き、10年来の付き合いが続いています。
 さて、いよいよ寧波ナンバーワンのホテルで盛大に挙行された披露宴の模様を報告しましょう。
 ホテルのロビーでZ総経理の紹介を受けて新郎新婦にお祝いの言葉をかけ、一緒に記念撮影に納まりました。当日の衣裳は、新婦は白のウエディングドレスがお似合いなのに対して、新郎は紺のブレザーに赤のニットベストという具合で、日本人の感覚からすれば、衣裳はミスマッチです。新郎はオーストラリアの大学でコンピューター科学工学修士号を取得した俊才ですが、服装には拘りがないのかもしれません。新婦は小学校教師でピアノの腕前はプロ級とのこと。新婦がチャーミングなのに免じて衣裳のことをあれこれ詮索するのは止めようと思います。そもそも中国では披露宴に招待客側も正装して出席する習慣はなく、皆さんカジュアルの装いなのですから。
 披露宴会場はホテルに隣接する国際会議場が当てられ、10人着席の円卓を85卓配置した会場の大きさにまず度肝を抜かれました。会場内に備え付けられた大型スクリーンに、新郎新婦の幼少時からの紹介に加えて、結婚式当日の模様がビデオ画像で映し出されました。中国の慶事には付き物の爆竹が鳴る中で、花婿一行が花嫁の実家へ迎えに訪れ、花婿の実家に花嫁を伴って両親に挨拶をした後に、両家の親族で昼食をする行事の模様です。
 因に、花嫁を迎えるパレードに使う5台の車は、新郎の父親が友人達に貸してくれるよう依頼したところ、5台ともBMWの最高級車種が揃ったとのこと、寧波は私営企業が多く、いかに好景気に沸き返っているかを物語るエピソードと言えましょう。
 予定時刻から待つこと1時間遅れで披露宴が始まりましたが、ご当地ではこれが普通だそうです。白いタキシード姿のプロ司会者によってセレモニーが進められ、最初に地元政府の役人による新郎新婦の紹介があり、その後来賓一名の挨拶、新郎父親のお礼の挨拶、最後に新郎新婦が両親に花束を贈呈してセレモニーは短時間で終了となりました。
 実は私が来賓挨拶を依頼されていたので、文化の違いによる誤解が生じないよう、予め用意した草稿を朗々と読み上げ、通訳は当社の上海現地法人幹部社員が行いました。挨拶には寧波を結節点とする日中文化交流の歴史や、偉い孔子様が奥さんには頭が上がらなかったという微笑ましいエピソード等を織り込んだ苦心作で、出席者からは好評を博したと通訳を担当した社員は申しておりますが、手前味噌かもしれません。
 新郎新婦のシャンパンピラミッドにより祝宴が開始され、手品や歌の余興などはそっちのけで、各テーブルではそれぞれ勝手に「乾杯!乾杯!」で最高潮に。
 花嫁がお色直しの赤いパーティードレスで再登場してから、新郎新婦が各テーブルに挨拶に回った後は、随時に解散となりました。締めの挨拶がなく流れ解散というのが、これもしきたりとはいえ、やや物足りなく感じた次第です。

(次号5月号は、岩田食品株式会社 代表取締役社長 岩田 功様にお願い致します)