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トップページ > Employer - 2007年10月

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「サイン」

光塗装工業株式会社 代表取締役社長 岩村宏明(イワムラ ヒロアキ)

光塗装 岩村社長
昭和19年12月生まれ
昭和42年 3月 同志社大学 商学部卒業
昭和42年 4月 光塗装工業株式会社入社
昭和48年 1月 同社 取締役
昭和52年11月 同社 専務取締役
昭和60年11月 同社 代表取締役社長(現任)
現在に至る

 先日、弟が自宅で呼吸困難になり、救急車で病院へ搬送され、私も直ぐに病院へ駆けつけました。救急救命センター室(ICU)のベッドで人工呼吸器を付け、点滴や尿の管、血圧や脈拍を測るコードなどが身体中に取り付けてあり、モニター画面にはピッピッという音とともに波動が描かれていき、重態であることは一目瞭然です。
 数時間後に担当医師から、危険な状態であることや、当分の間ICUへ入院する必要があることなどの病状の説明があり、入院手続きをするようにとも言われました。弟は独身で老母と二人暮らしのため、手続きは私が行ない、緊急連絡先も私の自宅と携帯電話にして署名しました。以降、頻繁に呼び出しを受け、病状の説明を受けるとともに、そのつど書類にサインを求められました。
 最近は医療に関する問題が多発しているからなのでしょうか、病状と処置方法を事前説明し、同意を求められます。しかし、医療に関してほとんど知識を持たない私には、先生にお任せするしかないわけです。しかしながら、延命治療に繋がる問題に関しては、本人の意思確認が出来ない場合、本当に微妙な問題を含んでおります。
 私も今年は63歳になります。まだまだ人生は長いとは言いながら、先のことは分からないので、自分の終末医療のこと、以後のことについて書き残しておかなければと痛感させられているところです。
 ところで、60歳を過ぎた頃から急激な視力の衰えを感じております。以前は書類をサッと見て大枠の文意は読み取れたような気がするのですが、最近は全部に目を通さないと分からなくなってきております(視力だけの問題ではなく、理解力の衰えも重大問題だと自覚せざるを得ませんが)。
 特に、小さい文字はスコープを使わないと読めないので、文意を読み取ることは大変です。それにも関わらず、書類にサインを求められる場面が多くなり、特にリスクに関することに対しては異常なほど多くなっているように思います。
 例えば、金融商品ですが、そのリスクについてほとんど理解できない用語で説明を受けるとともに、たくさんの字が並んだ、読む気もしないような書類にサインを求められる。また、目論見書など、分厚い冊子になっており、中身を検討する暇も気も湧かないのに、それでもなんとなくサインをしてしまっているのが現状です。
 逆の立場で言えば、これだけ自己主張の激しい時代に、様々なリスクに対応していくためには、相手が同意したというサインを求めることが必要なのでしょう。
 私の友人が「書いてあることが理解できないうちは、サインをしない」と言っておられたが、なかなかに勇気がいることだと思いました。しかし、こういう人が多数になることによって、説明の仕方も工夫され、説明する方も、受ける方も良い関係が築けるのではないでしょうか。
 今回の弟の入院に当たり、日常何となく求められるままにサインをしていたが、改めてサインをするという行為に“サインの重み”を感じたものでした。

(次号11月号は、旭産業株式会社 代表取締役会長 星川直志様にお願い致します)