「ある一言」
ニチハ株式会社 代表取締役社長 井上洋一郎(イノウエ ヨウイチロウ)
| 昭和19年4月生まれ | |
| 昭和43年 3月 | 北海道大学 経済学部卒業 |
| 昭和43年 4月 | 株式会社住友銀行(現・株式会社三井住友銀行)入行 |
| 平成 8年 6月 | 同行 取締役 |
| 平成11年 4月 | 大和証券SBキャピタル・マーケッツ株式会社 常務取締役 |
| 平成16年 5月 | 大和証券エスエムビーシー株式会社(社名変更) 専務取締役 |
| 平成17年 6月 | ニチハ株式会社 代表取締役社長(現任) |
| 現在に至る | |
7月16日、私がこの原稿を書いている時、_新潟県中越沖地震_が発生し、何人もの方が尊い命を失い、何百人もの方が負傷されたと云う悲報を知らされました。慌ててテレビのスイッチを入れると、幾つもの家屋が崩壊した様子や水とガスの供給がストップし、乳児のミルクを心配する被災者の方々などの避難所での痛ましい映像を伝えてきました。
また、九州をはじめ各地で猛威を振るった台風4号が過ぎ去り、その被害が心配されていた時だけに、_何と云う_との思いで一杯になりました。
特に痛ましいのは、何人もの高齢の方々が崩壊した家屋の下敷きになって亡くなられたことです。我が国には昭和56年の建築基準法以前の基準で建てられた家屋が、推定1,150万戸存在するとされています。また、東海沖地震の発生予測も云々されております。あらためて地震対策の必要性を痛感いたしました。
一方、国の住宅政策は、昨年6月に_住生活基本法_が成立し、国民の住宅の_量の確保から質の向上_へと大きく転換され、例えば、ストックの新耐震基準の適合率を平成15年の75%から、平成27年に90%に引き上げる等、13項目の具体的な成果指数が設定されました。弊社もこれら住宅政策の実現を担う住宅産業界に属する窯業系外壁材のトップメーカーとして_素晴しい人間環境づくり_の経営理念を基に、住生活基本法の精神である住宅に求められる_安全性__耐久性__快適性__資産価値の維持_に資する壁材、外装周辺商品の開発、供給を通じて環境と共生し、_住宅性能向上への貢献_することを役職員一同固く誓い合っています。
ところで、私も異業界から弊社の社長へ就任して2年が過ぎました。この間_自分の至らなさ、未熟さ_故に、幾度となく迷い悩むことがありました。_自分の器に__ビジョンを実現させる自分の実行力に__人材の確保と育成に_……etc。その間、時間が許されれば、営業、工場、開発の現場へ行き、若い人達から_元気と勇気_を貰う一方、様々な方から、貴重な教えをいただきました。その中で某社長の一言が、私の迷いを振り払ってくれました。
井上さん、まだ自分がいつ辞任するのか決めていないのか?私は今、ある先生から勧められ、自分自身の弔辞を書いているよ。何年何月何日に自分が死ぬことにして。当然後継者を誰にするかも決めて!すると期待したのと逆に、自分の至らなさがはっきりしましてね。自分なりに一生懸命やってきて、成果も挙げたと自惚れていたのですが!
衝撃でした。それから暫く考えた上で、私は自分の辞任する時を誰にも言わず(当然ですが)心に決めました。しかしそれとて実現できるか判りません。1年後には責任をとって辞任せざるを得ない事態が起きない保証はありません。但し、時間軸を定めたお陰で、自分の心中では、様々ある課題の優先順位を整理することができる様になりました。今は各種課題を克服し、自分の掲げるビジョンを実現するために、バランス・スコアカードの鳥の目と現場を重視する犬の鼻を持って、一歩一歩の前進を心掛ける日々です。従業員、株主、お客様、取引先、各ステークホルダーとWIN│WINの関係を築く為に!
(次号9月号は、ナトコ株式会社 取締役社長 粕谷忠晴様にお願い致します)


