「ITと経営効率」
アイカ工業株式会社 取締役会長 冨田章嗣(トミダ アキツグ)
| 昭和10年8月生まれ | |
| 昭和33年 3月 | 名古屋工業大学 工業化学科卒業 |
| 昭和36年 7月 | 愛知化学工業(株)(現・アイカ工業(株))入社 |
| 昭和52年 2月 | 同社 取締役 |
| 昭和62年 2月 | 同社 常務取締役 |
| 平成 4年 6月 | 同社 代表取締役(現任) |
| 専務取締役 | |
| 平成 9年 6月 | 同社 取締役社長 |
| 平成14年 4月 | 同社 執行役員 |
| 平成17年 6月 | 同社 取締役会長(現任) |
| 現在に至る | |
経営効率向上のためIT革命が叫ばれて久しい。当社では長年、ホストサーバーとPCクライアントの連携によるシステムを使用してきた。しかし、生産系からの設計思想であったため顧客満足度が低く、また改良の繰り返しで仕様の不明箇所が増え、これからの情報の一元管理・見える化、業務の高度化やスピード化、さらにセキュリティ管理面でも将来の課題が予想されたため、03年8月に新基幹系システムの導入に着手した。本紙面では、当社のこの経験をお話しすることとしたい。
まず既存システム(ホスト・VAN)の業務課題と改善点を整理し、新しいシステム化の方向性を探るべく専門コンサルタントとともに広く社内外の調査・ヒアリング活動を実施し、8ケ月を要してシステム化の方針を策定した。
業務改革点をいくつかご紹介すると、(1)電子単価帳の活用による見積もりの早期化・正確性の向上、(2)見積もりと受注業務の連携による業務効率化、(3)標準納期設定による納期の自動回答、(4)出荷日回答から着日回答への改善、(5)営業情報管理(物件管理・営業ノウハウ)の一元化、(6)WEB受注方式採用によるエントリー拡大、(7)生産計画システムの刷新による納期確度の向上、(8)標準原価採用によるコストダウンの推進と月次決算の早期化、などであり、導入後の青写真の素晴らしい目標をご説明するのは枚挙にいとまがない。基幹業務ソフトを活用して様々な業務改革を実現し、社内スローガンとして『_顧客満足度の大幅な向上_と_業務効率30%以上の改善_』を掲げて開発段階へと移行することとなった。
さて、その後、開発ベンダーと共同して基本設計・詳細設計を実施し、システムテスト・運用テストを経て、当初計画より約半年遅れて昨年8月の盆休み明けに当社の新基幹系システムは、本稼動を迎えることとなった。ベンダーの開発遅延、当社のデータ構築の試行錯誤や運用テストなどの遅延で2度、導入延期をしてから3回目での本番であった。どのようなトラブルが生じるのか事業への影響が懸念される緊張の中、やはり立ち上げに伴う問題が多発した。
生産計画の立案作業が複雑かつ不慣れなことによる納期回答の遅延、生産段取りや使用原材料手配作業の操作上の問題や習熟不足による生産遅延が生じ、納期変更作業が頻発した。こうしたトラブルが表面化するとお得意様からは、早めのご注文を余計にいただくこととなり悪循環の状況に陥った。人力による生産サイドとお客様の調整、納期厳守のための特別配達便の手配が増えた。また立ち上げ後しばらくは、伝票記載ミス等も発生し対応に追われた。社長の陣頭指揮により導入後1〜2ケ月で改善できるものは逐次、解決したが、昨年度下期全般にわたり納期遵守・欠品問題で数多くの代理店様・お得意様に多大のご迷惑をおかけすることとなってしまった。
今回のプロジェクトを推進し、夜遅くまで尽力してくれた社員の努力は労いたいと思う。しかし、約3年間の準備期間を費やし、執行予算は2〜3割方の超過となり、特別運賃や残業代・派遣費用などの予定外のコスト増を残す結末であった。現在、効果を出すべく第2次開発を推進中であり、日々、改善を進めている。導入から11ケ月目を迎えた今日でも残念ながら私の目には、まだ十分な経営成果は見えてこない。基幹業務パッケージでの経営効率の創出は、なかなか難しいものである。
(次号8月号は、ニチハ株式会社 取締役社長 井上洋一郎様にお願い致します)


