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トップページ > Employer - 2007年5月

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「日本版SOX法のジレンマ」

竹田印刷株式会社 代表取締役社長 斎藤正俊(サイトウ マサトシ)

大同学園 理事長
昭和17年8月16日生まれ
昭和41年3月 早稲田大学 第一商学部卒業
昭和41年4月 株式会社東海銀行(現株式会社三菱東京UFJ銀行)入行
平成 5年3月 竹田印刷株式会社入社(顧問)
平成 5年6月 同社 常務取締役管理本部長
平成 9年6月 同社 代表取締役専務経営管理本部長
平成15年6月 同社 代表取締役社長
現在に至る

 昨今、内部統制という言葉が、新聞や雑誌などマスコミにもしばしば登場するようになってきました。私のところにも、毎日のようにこれらに関するセミナーのDMが送られてきます。この背景として、昨年5月の会社法施行により、全ての大会社に対して内部統制システムの構築が義務付けられるようになったこと、さらには日本版SOX法の成立により、上場会社には来年4月以降を対象にした内部統制報告書の提出が義務化されたことなどがあげられます。上場していないからといっても、無関心ではすまされません。内部統制システムが十分に整備されていない会社は、いろいろな面でリスクが高いとみなされ、取引先から除外されることにもなりかねません。
 こうした考え方が重要視されだしたのは、日本においてもいろいろな企業不祥事が相次ぎ、その防止策として内部統制の整備が効果的であるとの認識が、一般に広く行き渡ってきたことによるのではないでしょうか。内部統制システムの整備にコストをかけても、それで不祥事が起きなくなれば、すなわちリスクが低減されれば、結局は利益が大きくなるとの判断が根底にあるようです。ひとたび不祥事が起きてしまえば、その企業の存続さえ危うくなりかねないことは、最近の例でも明らかです。不祥事を防ぐためにある程度のコストをかけても、十分ペイできるわけです。
 日本版SOX法はこの考えに基づき、内部統制システムの構築を上場企業に義務付けることで不祥事の発生リスクを低減し、最終的には投資家の保護を目的としています。当然ながら企業の最も重要な使命は、適正に利益を計上し、株主に還元することにあり、必要な利益があげられない企業は、株式市場から撤退しなければなりません。内部統制システムの構築にコストをかけすぎて、利益が大きく落ち込むようなことは法の本来の趣旨からも外れており、株主の期待を裏切る結果にもなってしまいます。したがって、いかに効率的にコストパフォーマンスを高めてシステムを構築するかというジレンマの解消が、それぞれの企業にとっての大きな課題となってきます。
 企業を取り巻くリスクは、自然災害、事故、コンプライアンス違反など多岐にわたっています。一方、企業には限られた経営資源を適正に配分し、最大限の利益を確保する使命があります。全てのリスクに対してマニュアルどおりに対応していては、管理の手間ばかり増え、コスト競争力を失うことにも繋がりかねません。そこで、リスクをいかに正確に評価できるかという能力が、重要なポイントとなります。リスク評価が正確であれば、高いリスクには十分な対策を取るとともに、低いリスクにはそれに応じた簡単な統制方法で対応することも可能です。
 日本版SOX法の適用開始まで、残すところあと一年足らずとなりました。私ども竹田印刷では、リスクの評価能力を高めることでジレンマを解消し、株主の皆様はじめ全てのステークホルダーに満足していただけるような、コストパフォーマンスの高い内部統制システムを構築したいと思っております。

(次号6月号は、株式会社INAX 取締役社長 杉野正博様にお願い致します)