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「教育問題」について

学校法人 大同学園 
      大同工業大学 
      大同工大大同高等学校 
  理事長 田中 卓(タナカ タカシ)

大同学園 理事長
昭和13年3月生まれ
昭和36年3月 名古屋大学 経済学部卒業
昭和36年4月 大同製鋼(現大同特殊鋼)株式会社 入社
平成 4年6月 同社 取締役
平成10年6月 同社 代表取締役副社長
平成12年6月 同社 代表取締役副社長退任
平成12年7月 学校法人大同学園 
   大同工業大学
   大同工大大同高等学校
理事長に就任
現在に至る

 先日のNHK番組クローズアップ現代読み書きの出来ない若者≠ヘ、社会に大いなる警告を発するものでした。ある大手製造会社の製造現場での出来事を報じていました。
 製造マニュアル(注意事項)が作業者の目の前に「(標準と)差異≠ェ発生した場合、責任者に報告〜」と掲示されてあったのですが、差異が発生したにも拘わらず不良品の生産が続きました。
 作業者は25歳と報じられていました。作業者が差異≠フ日本語そのものの意味がわからず作業を続けていたのが原因でした。この事故に危機感を持った工場側は、中学生用の国語ドリルを用い、研修会を終業後全員に行っている、との報 道でした。
 若者の国語力低下、ひいては学力低下が、社会基盤を脆弱にしつつある事象を突きつけられ、教育課程で教えるべき極めて基礎的なことさえ、社員研修を待た ねばならない現状に衝撃を受けました。正に立国の危機との思いです。
 今、大学では、少子化問題を抱えたなかで、2006年問題といわれている学力低下問題があります。学力低下は、1990年代の中ごろから話題にのぼりだしたのですが、2002年に学習 内容3割削減を含んだ改定指導要綱が施行されました。
 土曜休日の学校五日制や、祝祭日の増加等により授業日数は減少、そして総合学習等新教科が導入された結果として、従前よりも更に薄い教科書、細分された教科のカリキュラム、所謂、「ゆとり教 育」システムとなり、2006年度からこのシステムの履修生が大学入学学齢に達してまいりました。
 冒頭の報道の若者は2002年の新指導要綱以前の履修生たちですが、この方達よりも「更なるゆとり教育」履修生が06年問題の対象として登場してまいりました。この対応に大学は工夫と相当 なエネルギーを全力で投入しております。
 社会は発展課程で、教育システム構築に人知を集約し、何を教えるべきか、どれ位の時間と手間をかけるべきかを摸索し、一定の教育パターンを作り上げてきました。
 即ち、礼儀、道徳の徳育、「読み・書き ・算盤等」の基礎教育と、そして新しい学問を修得させる知育に、私達は相当の社会的エネルギーが必要であることを 理解し、それを投入する覚悟をしてきたはずです。
 一方、私達は生活に豊かさを求め、働きすぎの是正、余暇の増大他の諸施策を実施してきました。そして、これらの社会的欲求に歩調を合わせ、教育問題についての覚悟をやや蔑ろにし、教育システムに変更を強いてきたきらいがあります。 結果として混乱が生じてまいりました。
 教育効果の最終需用家である社会が、これらの問題に対し無関心ではないが誰かが事態をコントロールしてくれているものと、人まかせであったことが原因の1つと考えます。教育は若者の人生と言 う時間軸を懸けた大いなる試行です。昨今、教育に関する事件が一挙に顕在化した感がありますが、問題解決に社会人が 立場立場で積極的に役割を果して行くことが強く望まれます。
 企業人として永らく過ごし、教育問題を等閑にしてきた執筆者の反省であります。
(次号2月号は、大同特殊鋼株式会社取締役社長 小澤正俊様にお願い致します。)