「謙虚ということ」
中庸スプリング株式会社 取締役社長 林 敏行(はやし としゆき)
| 昭和38年 1月 生まれ | |
| 昭和60年 3月 | 青山学院大学 文学部 卒業 |
| 同 年 4月 | トヨタ自動車株式会社入社 |
| 平成 4年 3月 | 同社 退社 |
| 平成 4年 4月 | 中庸スプリング株式会社 常務取締役 |
| 平成 8年12月 | 同社 専務取締役 |
| 平成13年12月 | 同社 取締役社長 |
| 現在に至る | |
過日、知人より勧められた本を読んでいてある印象的な言葉が目にとまりました。『知之為知之、不知為不知、是知也。』これは中国の古い故事ですが、意味は『知っていることは知っている。解らないことは解らない。そういうことを知っている。』ということだそうで、すなわち自分の知らないということをしっかり認識し、自分の解っていることはほんの少ししかないことを自覚するということであり、解らないからこそそれを知ろうとして勉強したり練習を積み重ねていくものだと解説されています。
とかく我々は仕事の中でも知らないことを知っているふりをして判断を誤ったり、相手の信頼を失ったりすることがあり、自分自身も苦い経験をしたことがあって反省しなければいけないと常々思うわけであります。知っているふりをすればそれまでで終わってしまいますが、解らないことをその時に人に聞いたり、調べたり、勉強したりすれば、より一層自分の知識がふえて今後またそのこと自体や関連する事についても深く知ろうと興味が湧いてくるというものです。この好循環がとても大切な気がします。些細な事でも「何だろう?なぜだろう?」と常に疑問を持って見たり聞いたりすることは決して恥ずかしいことでも何でもなく、自分を進歩させることだということを忘れてはいけないと思う次第であります。
自らの立場や職位、職場等での経験年数ということにこだわり、『知っているふり』をしていないかどうか、今一度、初心に戻り自らの心に問いただしてみたいものです。そうすれば必ず全員が何でも言い合え、助け合い、対話がふえ、結果として信頼関係が深まり、個人の能力も伸びて組織としても強固な体制を築き上げることができるでしょう。
また著者は次の様な言葉も引用しています。『有過能改、則不為過。』すなわち、あやまちがあっても、改めることができれば、結果としてそれはあやまちではなくなるという意味だそうです。誰しも自らの非は認めたくないもので、一旦口から出てしまった言葉や強引に押し切ってしまった行動など自分が後から罪の意識にさいなまれても、なかなか取り消すための謝罪はしにくいものです。しかし、それを敢えてやれば必ず相手も心を開いて許してくれることになるでしょう。さもなくば生涯その事について後悔することになるかもしれません。人間は誰しもあやまちを犯すものであり、それが将来の糧にもなるわけです。同じ失敗を何度も繰り返すのは考えものですが、間違えたり失敗したりした時には素直な気持ちで自らの力不足だった点を反省し、二度と同じ事を繰り返さぬよう知恵を出して考えることが大切であると思います。
いずれにしても自らの身の丈を知り、素直に自分の不足しているところ、できていないところをしっかりと認識し、何事も謙虚に受け止めていくことが肝要で自分もそれを実践しなければいけないと痛感した次第です。
最後になりましたが、会員各位のご健勝と各社のますますのご隆盛を心より祈念いたしまして、筆を置きたいと思います。
(次号10月号は、株式会社 東海理化 取締役社長 木下 潔様にお願い致します)


