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「サマータイムに思う」

株式会社名鉄百貨店 代表取締役社長 鈴木 英介(すずき えいすけ)

株式会社名鉄百貨店 代表取締役社長
昭和11年4月23日生まれ
昭和34年3月 慶応義塾大学 経済学部卒業
同 年 4月 名古屋鉄道株式会社 入社
昭和62年6月 道東観光開発株式会社 取締役社長
同 年 6月 網走バス株式会社 取締役社長
平成 元年6月 名古屋鉄道株式会社 取締役
平成 5年6月 同 社         常務取締役
平成 9年6月 同 社         専務取締役
平成10年5月 株式会社名鉄百貨店 監査役
平成11年6月 名古屋鉄道株式会社 代表取締役副社長
平成13年5月 株式会社名鉄百貨店 代表取締役社長
現在に至る

 むし暑い長梅雨が終わり、やっと本格的な夏がやってきた。日本の四季の有難みであろう梅雨には、紫陽花が水を充分に含んだあの花弁と色がふさわしく、盛夏の暑い太陽には向日葵の元気強い黄色がよく似合うし、朝の涼しげな日差しには軒先の清楚な朝顔がとてもいい。何となく寂しげに過ぎ行く夏の終わり頃、道端の芙蓉はいつも悲しそうだ。四季があり、雨が降り、太陽が照り、大風が吹く。自然の循環には破壊もあるが、風情があり、収穫がある。旬の味わいは又、格別である。
 しかし我々小売業にとっては困った面もある。雨が降ればお客様のご来店が控え目になる。長雨や台風という自然の力に手を焼くこともある。(6月の異常な台風も困ったものだったが‥。)
 2〜3年前に環境省が提案し実施されなかった「サマータイム」を思い出した。夏時間を1時間進め、出勤や退社時間を繰り上げるというものである。(先日新聞紙面に7月だったか、札幌商工会議所が1ヶ月間「サマータイム」実験を始める云々と出ていたが‥)欧米では当たり前のことで、特に冬の長い北欧では、大人も子供も待ち望み、家族こぞって戸外でおおはしゃぎするそうだ。
 夏時間導入は仕事や学校が朝涼しいうちに始まり日の高いうちに終わる為、冷房や照明時間が減り省エネにもなり、余暇に充てられる時間が増す。ショッピングやレジャーによる個人消費が増え、確実に経済効果が上がり、景気刺激策になるものと思われる。
 そう言えば、欧州のバカンス(長期休暇)制度誕生は、1929年の大恐慌以降の深刻な不況から抜け出せず、失業時代の産物であったと何かで読んだことがある。バカンスが経済活性化の手段の一つになる鍵は、時間がなければ実現しない「時間消費」、つまり自由になる時間を作れば、消費が活性化する「旅」「外食」「教養・娯楽」「レジャー」などが盛り上がり、景気浮揚になるという発想だったそうだ。
 サマータイムは経済効果ばかりでなく、子供と一緒に遊んだり、買い物を楽しんだり、家族の会話も進めば、お互いの心も分かりあえるというものだ。ひょっとしたら小学生が殺人事件を起こすような事も起きなくなるのかもしれないと思う。パソコンだけが友達の“バーチャル・リアリティの世界”にいつも一人だけで居ると、自分が一体誰なのか、誰と会話しているのかも見失ってしまうのではないか。又、働き蜂にとっても、夫婦の会話が、短いぶっきら棒な言葉で終わってしまうその修復にも確実に効果を上げるものと思われる。
 今こそ“ハートフル・コミュニケーション”は必要だと思う。サマータイムが実施されなくても、一時間早く起きて自然に接し、花を愛で、暑い夏のホットコミュニケーションが増えれば、元気が出て、きっと消費が増え、景気も上向くのではないかと思う。やはり商売は、元気(やる気)→天気→景気の順番かなと思う。

(次号9月号は、愛知電機株式会社 取締役社長 木野 文海 様にお願い致します。)