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「今年は未年」

株式会社 みずほコーポレート銀行
        執行役員名古屋営業部長 橋 信敏(たかはし のぶとし)

昭和23年5月18日生まれ
昭和47年3月 東京大学法学部 卒業
昭和47年4月 (株)日本興業銀行 入行
平成10年4月 同行 横浜支店長
平成12年6月 同行 金融法人第一部長
平成13年6月 同行 執行役員名古屋支店長
平成14年4月 (株)みずほコーポレート銀行
執行役員名古屋営業部長
現在に至る

 今年は未年である。前回の未年は1991年、バブル崩壊に伴う長期不況が始まった年である。その後の12年間の地価と株価の下落で1000兆円の富を失い、銀行は累計で90兆円の不良債権処理損失を計上した。政府の借金は400兆円拡大し、名目経済成長率はマイナスに転落した。世界最強の経済立国であったはずの日本は、今や経済政策の失敗でデフレの罠に掴まった反面教師にされている。失われた10年が長引き、次の未年まで続いたら世界第2位の経済大国の座を中国に明渡すことになりかねない。
 日本でも様々な政策が具体化しつつある。構造改革特区、日銀の銀行保有株式購入、不良債権処理加速策、産業再生機構設立、税制改革等、相応のスピードで進んでいる。だがこれだけで経済を成長軌道に乗せることは困難だ。日本を市場シェア低下と資産劣化に苦しむ一個の企業に例えるならば、こうした対応は企業再建策の着手段階に過ぎないからである。ナンバーワンの米国は10年間で80兆円の経済対策で景気梃子入れをはかっており、後ろから追いかけて来る中国は、低労働コストに加え海外からの直接投資とアセアンとの自由貿易圏構想を梃子に一段の成長をめざしている。間に立つ2番手企業としての日本は再建を果たさなければその地位は危うい。
 個別企業の再建でも2年や3年はかかるものである。コストを削減し、選択と集中で戦略部門に資源を重点配分し、社員や部門にインセンティブを与え、商品開発やマーケッティングを強化し、必要ならば他社との提携も考えなければならない。そのためには、社員が問題を認識し行動を変えなければならない。
これを国に例えれば、規制改革を進め、公共事業や補助金等の予算配分を大胆に変え、年金・医療の将来ビジョンを示し、税制のインセンティブやデフレと戦う姿勢を明確化することにほかならない。加えて、アジアとの提携、即ち自由貿易協定もアライアンス戦略上重要である。かくして、現在の投資を抑制し、消費を手控えている企業や個人の経済行動を変える契機としなければならない。
 多様な価値観を有する経済主体が集まった国の経済再建は2年や3年で終わる話ではない。前の未年に始まった長期凋落傾向に歯止めをかけるためには税制、財政、金融政策を総動員したトータル・パッケージが必要である。今年は何よりもその実行と成果を期待したい。

(次号3月号は、(株)アバンセコーポレーション 代表取締役 林隆春 様にお願いいたします。)