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「自動車盗難の多発とその対策」

東京海上火災保険株式会社
        常務執行役員東海本部長 加藤 博之(かとう  ひろゆき)

昭和20年5月4日 和歌山県生まれ
昭和44年3月 和歌山大学経済学部 卒業
昭和44年4月 東京海上火災保険株式会社 入社
平成11年6月 同社 取締役自動車営業開発部長
平成13年6月 同社 常務取締役東海本部長
平成14年6月 同社 常務執行役員東海本部長
現在に至る

 多発する自動車盗難事故に歯止めをかけようと、愛知県警を始めとする関係官庁と自動車販売・整備、損保業界等18団体で作る官民合同の「愛知県自動車盗難等防止協議会」が11月8日発足した。
 近年、自動車盗難が全国の主要都市圏を中心に急増しており、警察庁の調べでは、1998年までは年間35,000件前後で推移していた盗難件数が、2000年には56,205件、'01年には63,275件にも達している。当愛知県でも'00年度は大阪・千葉に次いで全国3位だったのが、直近の'01年には盗難件数6,522台と大阪に次ぐ2位に浮上し、今年に入ってからも首都圏や大阪圏の盗難件数が大幅に減少する中、前年比110%の勢いで増え続ける現状にある。また、自動車そのものの盗難に加えいわゆる「車上荒らし」も'01年には36,688件と前年に比し7,500件増加し、今年に入ってからも9月末で既に28,000件を超える状況にある。実に県内で毎日160件もの自動車盗難・「車上荒らし」が起きている勘定だ。
 こうした自動車盗難急増の背景としては、(1)海外(ロシア・東欧・中南米等)での旺盛な自動車需要、(2)95年実施の「中古車輸出に関する手続き」の規制緩和(現車の確認を必要とせず書類審査のみに緩和)を背景に(3)折からの暴対法の施行で活動資金の確保が厳しくなった反社会的勢力が専門的な窃盗団を組織し盗難車両を海外に持ち出し売却していることが大きな原因とされている。
 このように盗難自動車が反社会的勢力の資金源になっているケースが多いことから、損保業界では、自動車盗難の増加は単に国民の経済的損失が増大していることや、自動車保険制度の健全な運営に支障を来す恐れがあることに止まらず、盗難車の売却益が反社会的組織の「活動資金」となっていることや、盗難車が二次的犯罪に利用される場合が多いことから、極めて深刻な社会問題として据える必要があると提言してきた。
 こうした提言を受け、政府では'01年7月に「国際的組織的犯罪等対策推進本部」の設置を閣議決定し、「自動車の盗難と盗難自動車の不正輸出」を検討課題に採りあげ、'01年9月18日には関係4省庁、日本損害保険協会・日本自動車工業会など9団体による「自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム」が発足し「自動車盗難等防止行動計画」が策定された。本行動計画の中で「地域自動車盗難等防止協議会」の設置が盛られていることを受け、今般愛知県でも協議会設置に至ったものである。
 愛知県の自動車盗難が現状のまま推移すれば早晩大阪を抜いて全国ワーストワンとなることさえ懸念される。愛知県が「反社会勢力の資金源」という汚名や不名誉を被らない為にも防止協議会の活動に注目するとともに、損保業界としても全力を挙げてお手伝い申し上げたいと考えている。

(次号来年2月号は、(株)みずほコーポレート銀行 名古屋営業部 執行役員名古屋営業部長 高橋信敏 様にお願いいたします。)