たかが野球されど野球 −日本プロ野球の構造改革―
トヨタL&F中部株式会社 取締役社長 古田 公徳(ふるた きみのり)
| 昭和13年2月8日生まれ | |
| 昭和36年3月 | 一橋大学商学部卒業 |
| 昭和36年3月 | トヨタ自動車販売株式会社入社 |
| 昭和60年2月 | 愛知トヨタ自動車株式会社 転勤 |
| 昭和63年6月 | 愛知トヨタ自動車株式会社 代表取締役専務就任 |
| 平成03年3月 | 株式会社トヨタレンタリース愛知 代表取締役社長就任 |
| 平成06年6月 | トヨタビスタ愛知株式会社 代表取締役社長就任 |
| 平成09年6月 | トヨタL&F中部株式会社 代表取締役社長に就任 |
| 現在に至る | |
今年のペナントレースはセ・パ両リーグともにあっさり終わってしまった。8月中旬にマジックが点灯する盛り上がりのない展開は、まるで鞘内の勝負だ。
地縁・血縁もあって森・星野監督とは旧知の仲である。
森さんは日本一6度という戦歴を持ちながら辞任した。心中察して余りあるものがある。仙さんとは昨年末、トヨタの奥田会長さんと会食を共にした。日本の景気回復のために、地域の人々に元気を吹き込んでほしいと、阪神監督就任を後押しした。
振り替えると、今季ほどファンがしらけたシーズンはなかったと思う。だが日本プロ野球のしらけ現象は今に始まったことではない。
野茂がメジャーに勇躍挑戦してまもなく10年。イチローはじめ優れた人たちが後を追った。彼らが日本に見切りをつけてメジャーを選択した思いをたどっていけば、日本球界が抱える深刻な病巣の輪郭が見えてくる。
金に物を言わせて圧倒的な戦力を整えた巨人の前に、名将森も闘将星野も歯が立たなかった。ファンがしらけるのも当然だろう。
そこで問いたい。果たして他球団は巨人を上回る努力をしているのだろうか。オーナー、フロント、そして現場の一体となった意欲が見えてこないのだ。
球場へ出かけて感じる。ファンサービスはこれでいいのかと。相変わらず鉦、太鼓の騒音。「ボールパークへ連れてってよ」を楽しく、和やかに唄っているあのメジャースタジアムの思い思いの応援スタイルは黙殺されている。手作り弁当も持ち込めないという悲しい現実も一向に改善されない。親と子が血の通った弁当を口にしながら、一つ一つのプレーに胸をときめかす場すら奪われている。
こうした現実に平然としている球界の視野の中にファンの姿はないのでは、と疑いたくなる。
日本のプロ野球という業界には、ファン、マーケットを引き付ける何かが欠けていると思えてならない。当たり前のことだが、魅力ある商品、気配り、信頼できるサービスを提供出来ない企業は、マーケットからボイコットされてしまうのだ。
企業戦略を決めるのは、トップマネジメントの機能であり、責任でもある。
それは断じて作る人、売る人、サービスする現場の社員ではない。球界に置き換えれば、コミッショナー・フロント。そして監督が一体となったマネジメントである。
たかが野球、されど野球である。
閉塞感が漂う今日だからこそ、人々に元気、活気、熱気を吹き込む日本のプロ野球であってほしい。
貧しかった。しかし楽しかった。バットもグローブもボールも父の手づくりだった。
戦後の荒廃した焼け野原で、兄弟、わんぱく仲間と球を追った。赤バットの川上、青バットの大下に目を輝かせた世代。自分の人生に野球というスポーツを重ねてきた。いくら時代が移ろっても、ファンの思いは不変だと信じたい。
大きな曲り角に直面している現実から目を背けないでほしい。これはプロ野球をこよなく愛する野球少年だった一ファンからの熱い応援メッセージである。
球界トップの方々の改革への情熱に訴え、発展を期待する。
(次号12月号は、東京海上火災保険(株) 東海本部常務執行役員東海本部長 加藤博之 様にお願いいたします。)


