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特集「労働時間制度の行方」〜ホワイトカラーエグゼンプション制〜

 本特集では、「労働時間法制改正の行方」〜ホワイトカラーエグゼンプション制〜と題し、ホワイトカラーの労働時間管理おける問題について考えます。ホワイトカラーの働き方については、労働時間の長さではなく、仕事の成果に応じて処遇していくのが合理的ではありますが、現行の労働時間法制は必ずしも実態と一致していません。
 そこでPart1では、大阪大学大学院の小嶌教授から、現行の労働基準法における労働時間法制の問題点と法改正への動き、ホワイトカラーに適した労働時間管理はどうあるべきかを解説いただき、Part2では、6月21日に日本経団連が発表した『ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言』の概要を労働法制グループ長の渡邉氏より紹介していただきます。

労働基準法改正とホワイトカラーエグゼンプション

大阪大学大学院高等司法研究科 教授 小嶌 典明

労基法もかつてはフロントランナー

 「朕は、帝国議会の協賛を経た労働基準法を裁可し、ここにこれを公布せしめる」。労働基準法の上諭(いまでいう公布文)には、こう書かれている。このことからもわかるように、労基法は、明治憲法下、旧帝国議会のもとで成立をみた。
 現行憲法が施行されるほぼ1月前、昭和22年4月7日にその年の法律第49号として公布された労基法は、わが国の立法史上初めて見出しがつけられた法律としても知られる。なぜか、同じ日に一番違いの法律第50号として公布をみた労災保険法(労働者災害補償保険法)には、見出しがない。
 民法が現代語化され、見出しのついた改正民法が施行されたのがつい最近(平成17年4月1日施行)のことであることを思えば、労基法の制定にかけた先人の意気込みがこの一事からも伝わってくる。
 労基法にも、かつてはフロントランナーとしての栄光を担った時代があった。そのこと自体は事実として記憶にとどめられてよい。

大きくなった労基法と現実との乖離

 戦後60年、その労基法もまもなく還暦を迎える。人生80年時代が到来したとはいえ、法律にも寿命がある。労基法とて、その例外ではない。とりわけ、立法以来一度も改正を経験したことのない規定には、現実との乖離が大きいものが少なくない。
 たとえば、管理監督者や機密事務取扱者について労働時間規制の適用を除外した規定に第41条第2号があるが、現在なお、管理監督者とは「一般的には局長、部長、工場長等労働条件の決定、その他労務管理について経営者と一体的な立場に在る者の意であるが、名称にとらわれず出社退社等について厳格な制限を受けない者について実体的に判別すべきものであること」、機密事務取扱者とは「秘書その他職務が経営者又は監督若しくは管理の地位に在る者の活動と一体不可分であって、出社退社等についての厳格な制限を受けない者であること」といった立法当初の解釈(昭和22年9月13日発基第17号、労基法の施行通達)がほぼそのままの形で維持されているのだから、驚きである。
 裁判所も基本的にこの解釈に従っており、訴訟になれば会社側の敗訴はまず免れない。そう覚悟したほうがよい。
 また、就業規則で定める減給の範囲を「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」としたものに、労基法第91条がある。
 しかし、公務員の場合には、「1年以下の期間、俸給の月額の5分の1以下に相当する額を、給与から減ずる」ことが認められている(国家公務員については、人事院規則12?0(職員の懲戒)第3条を参照)。停職(民間でいう出勤停止)についても、その「期間は、1日以上1年以下とする」(同第2条)とされており、許容範囲はすこぶる広い。
 公務員にできることが、なぜ民間にはできない。労基法を変えれば済む話ではないか。現場サイドからみれば、そういいたくもなる。法人化(非公務員化)を経験した国立大学は、このことを肌で実感した。「3か月間、1割減俸」といった減給処分がある日突然できなくなったからである。
 公務員時代には当然のように認められていた医師等の当直勤務(人事院規則15?14(職員の勤務時間、休日及び休暇)第13条第3号ホ)についても、法人化後は所轄労働基準監督署長による宿日直の許可(労基法施行規則第23条)が得られず、交替制の導入をはじめ、思わぬ出費を余儀なくされたことは記憶に新しい。これも、宿日直の許可基準を公務員並みに緩和することをサボってきた行政の怠慢にその責任があるといえる。

なぜか放置されてきた労基法の不備

 他方、労基法には、監督官の権限「濫用」を招きかねない規定もある。たとえば、「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる」と規定した同法第101条第1項の定めがそれである。
 「臨検」や「尋問」といった表現は、戦前の工場法や商店法において使用されていたものをそのまま踏襲したものといえるが、国家総動員体制のもとで施行された商店法(昭和13年法)でさえ、「行政官庁監督上必要アリト認ムルトキハ当該官吏ヲシテ店舗又ハ其ノ附属建設物ニ臨検セシムルコトヲ得」(第11条第1項本文)として、それが可能な場合をまがりなりにも限定していた。
 また、労基法から、その後相次いで独立をみた最低賃金法(昭和34年法)や労働安全衛生法(昭和47年法)においては、「臨検」が「立ち入り」に、「尋問」が「質問」に、それぞれ表現が改められるとともに、監督官はこうした立入検査等を「この法律の目的を達成するため必要な限度において」(最賃法第38条第1項)または
 ちなみに、労基法と同じく昭和22年に制定をみた職業安定法も、平成11年の法改正により、現在は「行政庁は、この法律を施行するために必要な限度において、所属の職員に、職業紹介事業、労働者の募集又は労働者供給事業を行う者の事業所その他の施設に立ち入り、関係者に質問させ、又は帳簿、書類その他の物件を検査させることができる」(第50条第2項)と規定している(法改正前は、「臨検」という表現が用いられるとともに、その範囲にも特段の限定が付されていなかった。旧第49条第1項を参照)。
 いついかなる場合であっても、監督官の臨検や尋問は拒めない(拒めば、30万円以下の罰金に処せられる。労基法第120条第4号を参照)。そうした歯止めのない問題のある状況を変えるチャンスは、以上にみたようにいくらでもあった。とはいえ、監督行政とはこんなものとの思い込みでもあったのであろうか、現実には何も変わらなかった。それもまた事実なのである。
 仮に、監督指導の範囲が労基法を「施行するために必要な限度」に限られていたとすると、世にいう4・6通達(平成13年4月6日基発第339号)もあれほど猛威をふるうことはなかったともいえる。「労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録する」義務を定めた規定など、労基法のどこを探してもみつからないからである(4・6通達自身、「責務」としかいっていない)。
 しかるに、4・6通達は、これにとどまらず「労働基準法第109条において、『その他労働関係に関する重要な書類』について保存義務を課しており、始業・終業時刻など労働時間の記録に関する書類も同条にいう『その他労働関係に関する重要な書類』に該当するものであること」とした上で、「これに該当する労働時間に関係する書類としては、使用者が自ら始業・終業時刻を記録したもの、タイムカード等の記録、残業命令書及びその報告書並びに労働者が自ら労働時間を記録した報告書などがあること」とする。
 しかし、労基法第109条は、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を3年間保存しなければならない」と規定するにとどまり、そこにいう「その他労働関係に関する重要な書類」に何が該当するかについては、明文の定めを置いていない。省令にもこれを明らかにした規定はなく、上記の解釈も、4・6通達で初めて明確にされたというのが正解に近い。
 法律が刑罰の脅しをもって義務づける行為(保存義務に違反した場合も、30万円以下の罰金に処せられる。第120条第1号)の範囲が、もっぱら行政解釈によって決まる。そうした罪刑法定主義の原則にも反する法律の不備がなぜ、今日まで放置されてきたのか。不思議といえば、これほど不思議なことはない。

ホワイトカラーエグゼンプションの導入に向けた法改正

 こうしたなか、労基法の改正とも関連して、ホワイトカラーエグゼンプションの本格的導入に向けた動きが加速しつつある。たとえば、本年3月25日に閣議決定をみた「規制改革・民間開放推進3か年計画(改定)」は、裁量労働制の拡大等に言及しつつ、同制度の見直し「だけでは十分ではない」として、次のようにいう。
 「裁量労働制は、労働時間のみなし制度にとどまり、これを導入した場合においても、休憩、深夜業及び休日に関する規定の適用が排除されず、また、一方には、裁量労働制の本質が『業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し当該業務に従事する労働者に対し具体的な指示をしないこと』にあることを踏まえると、管理監督者等と同様、労働時間規制の適用除外を認めることが本来の姿であるとの考え方もある。 そこで、2004年8月に改正規則が施行された米国のホワイトカラーエグゼンプション制度を参考にしつつ、現行裁量労働制の適用対象業務を含め、ホワイトカラーの従事する業務のうち裁量性の高いものについては、改正後の労働基準法の裁量労働制の施行状況を踏まえ、専門業務型裁量労働制の導入が新たに認められた大学教員を含め、労働者の健康に配慮する措置等を講ずる中で、労働時間規制の適用を除外することを検討する。
 また、その際、管理監督者等を対象とした現行の適用除外制度についても、新たに深夜業に関する規制の適用除外の当否も含め、併せて検討を行う。【平成17年度中に検討】」
また、3か月後の6月21日には、日本経団連が「ホワイトカラーエグゼンプションに関する提言」を公表し、注目を集めた。(詳細はPart2を参照)
 その骨子は、@ホワイトカラーエグゼンプションを現行の裁量労働制に代わる制度として位置づけること、A対象業務については、基本的に労使協定や労使委員会決議にゆだねること、B現行の専門業務型裁量労働制の対象業務を除き、報酬要件を設けること等にあるが、上記の「3か年計画(改定)」が「裁量労働制の導入手続に関しては、企画業務型についても専門業務型と同様に、労使協定による導入を認めるよう求める意見が労使の一部にあることに留意しつつ、その可能性について速やかに検討する」としていることを勘案すると、以下の改正試案(私案)にみるように、Aに関しては、労使協定方式に一本化することも検討されてよい。

【労基法第41条改正試案(太文字部:改正部分)】

(労働時間等に関する規定の適用除外)

第41条 この章、第6章及び第6章の2で定める労働時間、休憩、休日及び深夜業に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
1 別表第1第6号(林業を除く。)又は第7号に掲げる事業に従事する者
2 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
3 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
4 業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し具体的な指示をしないことその他次に掲げる事項を定めた場合において、当該業務に従事する者(厚生労働省令で定める場合[現行の専門業務型裁量労働制の対象業務に従事する者を指すー注]を除き、賃金の額が厚生労働大臣の定める額を超えるものに限る。以下この条において「対象労働者」という。)
ア 対象労働者の健康及び福祉を確保するための措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
イ 対象労働者からの苦情の処理に関する措置を当該協定で定めるところにより使用者が講ずること。
ウ 使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項第4号の協定を行政官庁に届け出なければならない。
 現行の裁量労働制をベースとして、その適用除外(ホワイトカラーエグゼンプション)制度への円滑な移行を図るとともに、対象業務の範囲については、労使自治(労使協定)による決定(範囲の拡大を含む)に道を開く。上記の改正試案も、そうした観点に立って作成したものであるが、法制化に当たっては、導入要件として定める報酬(賃金)の額がおそらくは最大の争点となる。日本経団連の「提言」にあるように、これを年収400万円(全労働者の平均給与所得)以上とすべきか否かについては議論があろうが、労使協定の締結を導入要件として課すとした場合、その額はある程度柔軟に決めてもよい。筆者はこう考えるのであるが、どうであろうか。



ホワイトカラーエグゼンプション制度に関する提言

(社)日本経済団体連合会 労働法制本部 労働法制グループ長 渡邉 義広

ホワイトカラーエグゼンプションを提言するに至った背景

 裁量性が高い、頭脳労働に従事するホワイトカラーにおいては、仕事の成果と労働時間の長さが必ずしも一致しない。このようなホワイトカラーの労働に対しては、労働時間の長さではなく、成果に応じて処遇を行っていくことが合理的である。
 ところが、現在の労働基準法では、同じ仕事でも効率よく仕事を完了させた労働者よりも、非効率的に長時間働いた労働者の方が時間外手当を支給され、結果として多くの報酬を得るという矛盾が生じている。
 もっとも、このようなホワイトカラーの働き方に対応して、何回か労働基準法の改正が行われ、フレックスタイム制、裁量労働制(専門業務型、企画業務型)等の労働時間を弾力化する制度が導入された。しかし、これらの制度も労働時間規制という考え方から脱却していない。
 ホワイトカラーの仕事の特性を考えると、賃金と労働時間を連結させている現在の労働時間法制は大きな限界がある。
 そこで、賃金と労働時間とを分離し、労働時間にとらわれない自由な働き方であるホワイトカラーエグゼンプション制度を今回、日本経団連は提言した。
 このような働き方は、企業のニーズに合致する。経済のグローバル化の進展、国際競争の激化に伴いホワイトカラーにこれまで以上に高い生産性が求められているからである。と同時に、労働時間にとらわれず納得のいくまで仕事をしたい、あるいは集中して効率的に働き、余った時間を余暇や家庭のために使いたいと考える労働者のニーズに応えるものでもある。

ホワイトカラーエグゼンプションの具体的内容、適用対象労働者の範囲

 もともとホワイトカラーエグゼンプションは、一定の条件に該当するホワイトカラー労働者を労働時間の規制の適用除外とするアメリカの制度である。
 日本経団連の提言するホワイトカラーエグゼンプションは、アメリカの制度を参考にして作られたもので、仕事の専門性と時間管理について自己裁量の高いホワイトカラーを労働時間規制の適用除外とするものである。
 ただし、その要件についてはアメリカの制度とは異なる。日本経団連の提言するホワイトカラーエグゼンプションに該当するか否かは、当該労働者の業務の内容(業務要件)と年収(賃金要件)で決まる。

(1)まず、現行の専門業務型裁量労働制(研究開発、情報処理システムの分析設計など19の業務)に従事する労働者については、年収にかかわらずこの制度の対象となる。

(2)つぎに、現行の専門業務型裁量労働制以外の裁量的な業務に従事する労働者も対象となる。この業務は法令で定める。現時点では、企画、調査、立案、分析など現行の企画業務型裁量労働制の業務を想定している。

 但し、こうした法令で定める業務に従事する労働者すべてが対象になるのではなく、さらに一定の年収(賃金要件)を充たす必要がある。

@まず、年収額が400万円(または全労働者の平均給与所得)未満の労働者は、上記のような裁量的な業務に従事していても、この制度は適用せず(対象外)、通常の労働時間管理を行う。というのも、ホワイトカラーエグゼンプションの対象となると、後述するように労働時間規制の適用除外となり時間外手当が支払われないので、労働者の中には、(特に仕事の遅い人など)結果として減収になるものも出てこないともかぎらない。低所得者の場合は経済的な打撃を無視できず、これを保護する必要がある。
 国税庁の「民間給与実態調査」(平成15年調査)によると、給与所得者の平均年収が443万9千円で、年収400万円以下の労働者は全労働者の53.5%である。したがって、一部の報道にあるように、「この制度がほとんどのホワイトカラーに適用されて残業代 が不払いになる」ということはない。
A法令で定められた裁量的な業務に従事し、年収額が400万円(または全労働者の平均給与所得)以上の労働者は、この制度の対象となる。

(3)ところで、法令で定められた裁量的な業務以外の業務でも、裁量的な業務は時代の進歩とともに増えていく。こうした業務もこの制度の対象とするのには、法令の改正が必要となるのだが、改正には時間がかかる。
 たとえば、ファイナンシャルプランナー等の業務は、専門性のある裁量的な業務であるが、まだ現行法上、現在の裁量労働制(企画業務型、専門業務型)の業務には含まれていない。 また、その企業にだけ特有の裁量的な業務というものも考えられるが、そのような業務が法令で規定される可能性は少ない。
 そこで、労使自治で裁量的な業務を拡大できるような仕組みを作っている。
 その場合も年収要件で分け、まず年収額が700万円(又は上位20%の給与所得に相当する額)以上の労働者については、対象業務の拡大は労使協定で行うことができる。これに対して、年収額が400万円(または全労働者の平均給与所得)以上で700万円未満の労働者は、より厳格な手続である労使委員会の決議によってのみ業務の拡大が可能となる。
 法律によらず、企業の内部で裁量的な業務を拡大する場合、企業の一方的な意思で裁量的でない業務にホワイトカラーエグゼンプションが適用される、という危険も考えられないではない。そこで、労使協定、労使委員会という労使自治のための手続によってのみ業務を拡大できるとしたの である。  そして、年収700万円の基準は、職業安定法施行規則に基づき求職者から手数料を徴収できる経営管理者、科学技術者などの範囲の基準とされている額であるが、この年収を基準に線引きをして、これより年収が低い労働者についてより強い保護を与えるため、厳格な手続(労使協定でなく労使委員会)を求めている。さらに、以上の手続に加え、さらに制度の濫用の危険を完全に払拭すべく、労使で裁量的な業務を定めた場合には、所轄の労働基準監督署長への届出を義務付けている。

ホワイトカラーエグゼンプションの効果と健康確保措置

 さて、以上の業務要件、賃金要件を充たした労働者は、ホワイトカラーエグゼンプションの対象となる。その結果、労働時間規制(休憩、休日、深夜業を含む)の適用除外となる。
 その結果、時間外手当も支払われなくなるが、この制度は当然のこととして、時間外手当の削減を目的としたものではない。
 (この制度との均衡上、現行の管理監督者についても、深夜業の割増賃金支払規定を併せて見直し、完全な労働時間規制の適用除外とすることを日本経団連は求めている。)
 なお、「法律による労働時間の規制がなくなると、労働者の働きすぎが懸念される」という指摘がある。もとより、この制度は、賃金計算の基礎となる時間と健康確保措置の基礎となる時間とをわけて考え、賃金と労働時間の結びつきを見直そうというものであり、労働者の長時間労働や働きすぎを誘引するものではない。むしろ、効率よく短時間で働くことを目指した制度なのである。
 とはいえ、裁量的な業務であるから、仕事にのめりこむなど労働者自らの働きすぎによる健康障害も考えられないではない。そこで労働者の健康確保措置も、労使で取り組むようあわせて日本経団連では提言している。すなわち、法令で義務付けられている定期健康診断とは別に特別健康診断の実施や一定の在社時間を超えた労働者に対する休暇の付与などである。

おわりに 制度実現に向けて

 政府厚生労働省では、本年4月、学識経験者からなる「今後の労働時間制度に関する研究会」を立ち上げ、@ホワイトカラーエグゼンプションや裁量労働制の見直しなど弾力的な働き方を可能とする労働時間規制のあり方A年次有給休暇の取得促進B所定外労働の抑制の検討を開始している。平成19年の通常国会にも、労働契約法とあわせて、労働時間法制についても労働基準法の改正案が提出予定と聞いている。この制度が法制化される場合、労働基準法41条(労働時間等に関する規定の適用除外)を改正し規定が新設されることになると思われる。日本経団連としては、このホワイトカラーエグゼンプションを労働基準法の改正案に取り入れられるよう政府・関係省庁に対して積極的に働きかけているところである。